障子紙に理解を深めよう
事業部制組織とはどんなものですか? また、その長所と短所を教えて下さい。
企業は、存続・発展を続けていくために、たえず新しい製品や事業を手がけています。
製品や事業にマッチした組織づくりをすることは、企業の発展にとって重要な課題です。
こうした多角化戦略を行う際にもっともよく採用されているのが事業部制組織です。
事業部制組織は、製品、地域、市場、顧客、あるいはプロセス(工程)を基準にして編成される分権的な組織です。
職能別組織が、製造機能、販売機能などの類似の機能をまとめて製造部や販売部などの部門編成をされるのに対して、事業部は、製品別、地域別、市場別、顧客別あるいはプロセス(工程)別に、購買・製造・販売を統一的かつ合理的に行うのに必要な包括的な権限を与えられており、原則として、独立採算の責任を負うプロフィットセンターです。
何を編成の基準にしているかによって、それぞれ「製品別事業部制」「地域別事業部制」「市場別事業部制」「顧客別事業部制」あるいは「プロセス(工程)別事業部制」と呼ばれますが、いくつかの事業部制の混合型も少なくありません。
事業部制組織は、企業の内部組織として、事業ごとに独立した小企業に似た部門を持つ組織です。
このように事業部は自律的な組織であり、その長は所管する事業の遂行に関する大幅な権限を持っていますが、なお最高経営層の全社的経営方針によって指針を与えられ、業績評価によって統制される点が、独立の企業との根本的な相違点です。
事業部は、所管する事業を行うのに必要な包括的な権限を与えられていますが、販売活動はそれぞれの事業部に分散せずに、全社を販売部一本でまとめて行ったほうが、より効率的である場合があります。
この場合には、事業部は所管製品の販売の権限を持ちながら、販売の実施を販売部に委託することになります。
販売部は、事業部の販売代理店の役割を担うことになり、事業部から販売部に販売手数料が支払われます。
購買や製造についても同様に、事業部から業務委託を受けた購買部や製造部を設置することが考えられます。
事業部制組織は、一九二〇年代のアメリカの先駆的企業にその始まりを見ることができます。
例えば、デュポン社は経営多角化の過程で事業部制という管理機構をつくり出し、GM社は合併したいくつもの独立会社を管理する方法として事業部制を採用しています。
わが国においては、戦前から事業部制組織を採用している企業も多少はありましたが、本格的な導入は昭和三十年代後半の経済成長期以降です。
今日では一部上場企業の約半数が、事業部制組織ないし事業部制的組織を採用していると推定され、その大部分が製品別事業部制です。
事業部制組織の長所としては、次の点が挙げられます。
①事業部長への責任と権限の委譲によって、最高経営層が総合的・長期的経営計画など企業家的業務に専念できる。
②経営の多角化戦略に応じて、それぞれの事業や製品にふさわしい組織形態をとれる。
事業部長は特定の事業や製品に特化できるので、よりきめの細かい経営管理が可能となり、事業や製品の特性に合った運営がしやすくなる。
③事業ごとの責任体制を明確にし、業績評価をはっきりさせやすい。
④企業規模の拡大により遅延しがちな意思決定を徹底した権限委譲、スパンーオブーコントロールの適正化や指揮命令階層の短縮化によってタイムリーに行うことができる。
⑤事業部長に、権限を包括的に持たせることにより、後継経営者の育成ができること。
一方、事業部制組織の短所は、次のような点です。
①事業部間異動がむずかしくなり、人事が硬直化する。
②事業部エゴが強くなり、全社的観点からの最大効率が追いにくくなる。
③事業部間でマーケットが重複する。
④短期利益に目が行き、長期的視野が欠如する。
⑤事業部間で業務が重複し、管理コストが増大する。
事業部制組織は、分権化組織の代表的なものであり、最高経営層は本部のスタッフを使って全社的観点からの統合と調整を進めますが、その場合、本部に留保されている権限として、次のようなものが挙げられます。
①全社的な基本方針の設定。
総合的長期経営計画の決定。
②予算の最終決定。
予算外の個別計画の承認。
③事業部の本部に対する報告制度の設定。
④全社的観点からの事業部の業績評価の実施。
⑤全社的視点からの高級人事の決定。
⑥全社的資金計画および資金調達の実施。
⑦全社的な組織計画の決定。
事業部制がわが国の企業に導入されてから約三十年。
管理費の削減や投資の効率化をねらいとして、関連する複数の事業部を統合したり、あるいは複数の事業部の上部組織として事業本部を設置して、複数事業部間の重点的資源配分をやりやすくするなどの工夫が続けられています。
Q18組織の動態化とは? 「組織の動態化」とか「ダイナミック組織」というのは、どういうことですか。
組織が拡大し、複雑になるにつれて、部門のセクショナリズムも強くなって組織の硬直化が問題となります。
また、研究開発や市場開拓を進めるためには、関係する各部門の総力を結集しなくてはなりませんが、従来の職能別組織では効率的に対応することができません。
もっと身軽で、しかも機能をできるだけ多く包含した組織が求められます。
この問いへの回答として出てきたのが、組織の弾力的運用、動態的運用です。
これが「組織の動態化」とか「ダイナミック組織」と呼ばれるものです。
その類型と特徴を整理してみましょう。
剛組織の簡素化 部や課の数が多いと、組織相互の間の連携・調整に手間取ります。
二つの課を統合したり、あるいは課を廃止して、機能を他の組織に所管させるのは、組織機構をできるだけ簡素化して、組織間の調整を少なくしようという目的です。
組織が簡素であればあるほど、部門エゴによる硬直化も少なくなります。
組織の新設や増加を一定期間禁止するのもこれと同じ趣旨です。
㈲課制廃止 課を廃止することによって、それまで「課」という小部屋にいた人を「部」という大部屋に引っぱり出して、プロジェクトや課題別のグループをその時々の必要性に応じて編成し、部長の直接の指揮によって部内運営を合目的的にやっていこうとするものです。
その長所としては、①課の壁を取り払うことによって、課のセクショナリズムを防げる、②部内のプロジェクトや課題の難易度や大小に応じて、能力主義に粟づくリーダーの登用が可能となり、年功制を超えて若手の起用ができる、③課長がプレーヤーとして戦線復帰し、専門性を発揮できる、④部長の判断によって随時チームの新設改廃が行われ、人や金の配分も課の枠にとらわれずに臨機応変にできる、③名刺肩書きの「課長」を対外呼称として使うことによって、ポスト不足を補い、人事処遇上の便宜が図られるI-などがあります。
「課」という階層をなくすので「組織のフラット化」と呼ばれることもあります。
しかし、課題志向型のチーム運営になると、リーダーが当面の目標達成に気を奪われて、部下を育成しようという意識が低下したり、仕事の責任者としての課長の位置づけがなくなり、組織が流動化するため責任の所在が不明確になりやすいなどの問題があります。
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